第16章 The Last Time
その街についた。
タクシーを降りると、寒い風が吹いていった。
親父に言われた場所まで歩を進める。
きっとどこかで小原と翼が見張ってる。
だから、早く済まさなきゃ。
住所を見ながら、目当ての建物を探す。
一際輝くネオン。
そこに榎本は居る。
中国人が入り口で屯していた。
俺の顔を見ると、口笛を吹いた。
なにか話しかけてきたけど、訛りの強い英語で、分からなかった。
身体にベタベタ触ってくるから、こいつはホモだと断定して、しなだれ掛かってみた。
そいつは喜んで、俺を地下の部屋へ入れてくれた。
階段を降りると、分厚い扉があって。
そこを開けると、ダンスフロアになっていた。
派手な音楽が掛かっている。
中国人の男といたら、なにも聞かれず通過できた。
男はしきりに俺の股間を触ってくる。
はぐらかしながら、室内を見渡した。
榎本は見当たらなかった。
「VIP?」
そう男の耳元で囁いたら、男は大喜びでVIPフロアへ連れて行ってくれた。
ドア1つ1つを確認しながら歩いた。
ガラスにスモークが掛かっているが、目を凝らせばなんとか見えないこともなかった。