第16章 The Last Time
「…わかった…」
瞳を閉じて、キスをねだる。
そっと唇に触れると、潤んだ瞳で見上げながら、また微笑んだ。
「しょうさん…すき…」
ひさしぶりの笑顔に、心がざわめく。
今すぐ抱きたくなった。
ぎゅっと拳を握って、なんとかその感情を逃した。
「俺も…好きだよ…ずっと一緒にいような…和也」
頷くと、また微笑んで。
「和也…ずっと笑ってて…なにがあっても」
「わらう…?」
「俺、和也が笑ってたら、嬉しいな」
「ぼくも、しょうさんがわらってたらうれしい…」
まっすぐ見つめられて、ますます抱きたくなった。
「うん…笑うから…和也…」
ぎゅうっと抱きしめて、なんとかぬくもりだけで身体を満足させた。
二人が戻ってきて、俺達は再び出発した。
「ホテルはきちんとチェックアウトされてたよ」
なんか風間らしいなと思った。
「チップ山程握らせたら、風間の行き先教えてくれたよ」
「え?なんでホテルの人が知ってるの?」
「風間が自分で言い残していったんだ。俺達へのヒントかな…」
小原が顎を撫でながら言った。
風間の行き先は、昨日親父から連絡がきていた場所と一致していた。
少し焦った。