第16章 The Last Time
潤たちには言えなかった。
ただ風間を見届けると言ったけど…
風間より早く榎本を見つけ出して、殺す。
そして、終わらせるんだ。
もう…終わらせるんだ…
蛇頭をバックに持つ風間より早く榎本を見つけられるかわからなかった。
だから、親父の力を借りた。
親父は今、外務省の高官だ。
あの事件でかなり省内での株を上げて、次期事務次官候補と言われるまでになった。
大きな声では言えないが、そこまでいくと、裏との繋がりも必要になってくる。
親父はお役所しか知らない世間知らずだと思っていたからびっくりした。
ずっと、榎本の行方を握っていたのだ。
榎本が風間の元を逃れたとき、親父の方から連絡があった。
榎本は日本警察のトップシークレットを握っている。
だから、行方はわかっていると。
どんなルートなのかはわからない。
でも。そんなこと、やっぱりどうでもよかった。
だって、アイツは死ぬから。
俺が、殺してやるから。
ぼんやりと前を見つめる俺の腕を、和也がぎゅっと握った。
見上げる瞳は、不安に満ちていて。
和也はわかってる。
俺がやろうとしていること。