第4章 Half Moon
「しょうさん…みゅーじしゃんってなんですか?」
歩道を手を繋いで歩きながら、和也が俺を見上げる。
「んー。音楽を作る人のこと」
「しょうさんはおんがくをつくるひと!」
「和也、人に言うなよ?」
「はいっ…いいませんっ!」
「今度聞かせてやるよ」
そう言ってみたら、自然に顔がほころんでしまった。
あんな音楽聞いたら、和也、倒れるだろうな…
俺は、いわゆる覆面ミュージシャンってやつをしてる。
一切メディアに顔を出していない。
俺のバンドはCDのトータルセールスが、去年一位だった。
実は売れているバンドをもう4年やってる。
今は、充電期間ってことで、メンバーはそれぞれ好きにやってる。
俺は世間に出たことがなかったから、バイト生活をしているけど、別に生活に困っているわけじゃない。
それに、俺はリリックを書いているから、いわゆる普通の感覚を養わなければいけなかったし。
だからこそ、和也に出会えたわけだけど。
「しょうさん、わらってる…」
和也が俺を見上げてる。
俺の宝物…
「和也も、笑ってるよ?」
そういってほっぺをつねったら、とってもくすぐったそうに笑った。
明日、弁護士に連絡しよう。