第4章 Half Moon
「ありがとうございます…先生…」
俺は和也の手をとると、立ちあがった。
和也もゆっくりと立上がる。
頭を深々と下げた。
「色々教えてくださり、ありがとうございます。弁護士と相談します。何が和也くんにとってベストか、いろいろ考えます」
先生が涙を浮かべながらこちらを見た。
「…もちろん、時間が必要だということであれば、和也くんが成人するまでだって待ちます。俺、真剣なんです…」
「せんせぇ…なかないで…?」
「ん…ごめんね…和也くんのせいじゃないのよ?」
「ぼくのせぃ…」
「違うのよ…ごめんね…」
先生は俺をまっすぐ見た。
「櫻井さん…本当に真剣だって証明してください…そしたら、私もバックアップします…」
「はい」
「途中で投げ出すような、生半可じゃないとこ見せてください」
「はい」
「そしたら…信用しますから」
「頑張ります…」
「それから…」
「はい」
「ご職業は一体なんですか?」
「あ…すいません…ミュージシャンです…」