第16章 The Last Time
昼過ぎにランチを取って、部屋に戻った。
翼がきたからと小原から連絡が入り、合流して風間の居たホテルに向かうことになった。
翼が運転する車中で、また報告を聞いた。
「風間ね、榎本ってやつのしっぽ掴んだみたいだ」
翼はいつになく声のトーンが低い。
「昨日の夜、蛇頭の幹部とこっちで会ってる」
助手席に座る小原に写真を差し出した。
小原は一瞥すると、後部座席に座る俺に写真を差し出した。
黒のレザーのコートに身を包んだ風間が写っていた。
夜の街を歩いている。
隣にいるのはスーツを着た、中国人だった。
「写真は撮れなかったけど、この後、銃を受け取ってる」
翼は少し黙った。
「…俺が尾けてるの、わかってたみたいだ」
「えっ?」
「銃を受け取った後、こっちを見て笑いやがった」
俺達が頼んだ探偵だってわかってたんだろうか…
そのまま、風間はホテルに戻らなかった。
尾行するのも難しくなって、結局風間の足取りは途絶えた。
「でも、いい情報も入った」
翼はまた写真を取り出した。
「これはさっきとれたて」
小原が受け取ると、少し肩を揺らした。
また俺に写真を差し出した。
そこに写っていたのは、榎本だった。