第16章 The Last Time
「つけるさ…風間がやることだ…」
そういえば、風間…
ガオの身体、どうしたんだろ。
結局、墓地にはガオの身体は入っていない。
白根の湖に葬ったんだろうか…
それはもう、風間だけが知っていることになってしまった。
今度あったら、聞かなきゃな…
時々、会いに行ってやらないと。
淋しくて、泣くから。
ああみえて、ガオ…
ものすごく寂しがりだから。
和也が、俺の腕にもたれかかる。
親指を咥えながら、また虚空をみていた。
また…ガオでもいるのだろうか…
そっと和也の肩に手を乗せると、和也は目を閉じた。
そのまま深い眠りに誘われていった。
「…今、幸せ?」
小原が俺の顔をじっと見つめる。
「え?」
「今、和也くんと一緒に居られて、幸せなの?」
「ああ…なんで?」
小原は少し顔を曇らせた。
「無理もないけどね…立て続けに人が亡くなったんじゃ…でも…」
そのまま口をつぐんでしまった。
俺達の間に落ちている陰を、小原は見たのだろうか。
少しづつ近づいてくる、黒い深淵。
俺はその誘惑に抗うことが難しくなっていた。