第16章 The Last Time
「えーっと!これなんだっけ?」
和也を親指で指差す。
「おい…失礼だろ」
翼は笑いながら、和也の頭をぽんぽんと叩いた。
「嘘だよ。久しぶりだな!和也」
和也はちょっとだけ微笑むと、俺の後ろに隠れた。
「ありゃ…」
「翼も嫌われたな…」
「って、お前もかよ。小原」
「ああ…めっちゃ嫌われてる」
ぶふっと翼は噴き出した。
「お前、また怖い顔してたんだろ!」
「してねーよっ!生まれつきこんな顔なんだよ!」
「お前みたいな怖い顔のヤツ、みたことねえよ!」
すげー…翼…こんな綺麗な顔、怖いとかよく言えるな…
「怖いじゃねえだろ…イイ男だろうが」
小原は極上の笑みを浮かべた。
こ、こわい…
どうして綺麗なものって、こんなに怖いんだろう。
「お前のはいい男っていうには、邪悪すぎんだよ」
べちっと額をはたくと、俺達の先頭に立って歩き始めた。
「先にホテル行こう」
翼はカイロから一時的にアメリカに滞在してる。
ISの影響で、カイロはいまとても住みにくいらしい。
アメリカは一時受け入れをしているので、今、こちらに居を構えている。
慣れた足取りで、街を歩いた。