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ROSE【気象系BL小説】

第16章 The Last Time


ロスに着いて、大型バスのフライアウェイに乗り込む。


流れる景色を和也はじっとみていた。


和也は見るもの全てが珍しいらしく、目を白黒させてた。


11月のロスは、思ったほど暑くなかった。


ガオが生きてたら…


次にレコーディングにくるのは、ここの予定だった。


雅紀が回復次第、ここに来るはずだったんだ。


…もう…


涙もでない。


ポケットからピルケースを出すと、薬を口に含む。


がりっと噛むと、心が安らぐ。


精神安定剤って、便利なもんだ。


ぼーっとして、なにも考えずに済む。


気がついたら、和也が俺を見上げてた。


「なに?和也…」


首を横に振ると、肩に凭れてきた。


飛行機に乗ってから、また喋らなくなった。


「和也…?」


また虚空に視線を漂わせていた。


俺たちは黙ってバスに揺られた。


ユニオンに着いてバスを降りると、早速小原が駈け出した。


「よう!翼!」


「え…?」


「久しぶりだな!小原!」


「翼!?」


「翔!生き返ったか!」


にっと俺を見ると笑う。


日焼けした肌。


真っ白な歯。


カイロで俺を救ってくれた友がそこにいた。

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