第15章 Flower in the Sun
和也と一緒に、たくさん薬を飲んでベッドに横になった。
これで眠れると思った。
悪い夢も見ないと思った。
けど…翌朝は、来た。
和也を揺り起こすと、和也の目も覚めた。
そっか…
そうだよな…
でも、至極気分がいい。
これなら外に出られそうだった。
「和也、お外いこう?」
和也はぼーっとしながら、それでも俺の後をついてきた。
「和也、お外、久しぶりだねえ…」
和也は綺麗な瞳を俺に向けた。
「しょう…綺麗…」
そう言って空を指さした。
真っ青な空だった。
「ガオ…いる」
「え…?」
「ないてる」
どこにもそんな影なかった。
でも和也の視線は、一点で止まってる。
「ガオ、泣いてるの?」
「ごめんねっていってる」
それきり、和也はなにも言わない。
言わないけど…
ずっと空を見上げてた。
カチリと俺の中でスイッチが入った気がした。
「和也…」
和也がゆっくりと俺をみた。
「アメリカ、行こうか…」
その時の和也の顔を…なんと表現したらいいんだろう…
絶望したような、それでいて安心したような…
そんな顔をしてた。