第15章 Flower in the Sun
ふらふらと立ち上がると、和也を引きずるようにして歩いた。
なかなか前に進まなくて…
よろけていると風間が和也を支えてくれた。
「翔…俺…」
「ん…?」
「榎本、探しだして消すから」
「風間…」
「でも…ガオは静かな場所で眠らせてやりたい…どっか…いい場所知らないか…?」
風間はヤクザの下っ端なのに、旅行なんか行かなくて。
綺麗な場所なんて、興味がないっていってたのを思い出した。
「群馬に…いいとこあるよ…湖で…」
「そっか…じゃあ、そこに灰をまいてやろうかな…」
「…そこはな…強い酸性で、生物が住めない湖なんだ…」
風間の目が、鋭く俺を見た。
暫くじっと見つめ合った。
ふっと笑うと、少し涙ぐんだ気がした。
「じゃあ…そこに智津を沈めてやっか…」
そういうと和也の頭をぽんぽんと撫でた。
ガオと風間はそのままどこかへ消えてしまった。
でもガオの葬儀は、侑李とおなじ教会で行われた。
ガオがいるように偽装しながら。
ぼんやりと、群馬のあの湖へ行ったのかなと思った。
あそこなら…
昼間は多少煩いかもしれないけど…
静かに眠れるんじゃないかな。