第15章 Flower in the Sun
訳がわからなかった。
和也がずっと泣いてて…
泣きやまなくて…
なんで病院にいるのか思い出せない。
智も潤も泣いてて。
小出さんも泣いてる。
雅紀は…どこいったんだっけ…
霊安室の前の長椅子で、みんな俯いて座ってる。
俺は和也を抱えて、ただドアを見つめてた。
風間がどこからか戻ってきて、小出さんに耳打ちした。
小さく頷くと、待っていた小原と小出さんは上に上がっていった。
「皆…雅紀、見つかったから…」
誰も、返事をしなかった。
「風間…ごめん…」
「…何を謝ってんだよ…」
わからない。
けど、謝ることしかできないような気がした。
「…ガオさん運ぶから…場所は小原に聞いて」
「ああ…」
和也の涙で、俺の胸のあたりはびっしょり濡れていた。
それでも和也の涙は止まらなかった。
ガオの寝顔は、驚くほど穏やかで。
死化粧を施されて、いつもより美人だった。
寝顔をみてたら、ガオが女性で。
女であったことを思い出した。
細い首。
濃く着いた、痣。
何があったのかなんて、誰も聞かなくてもわかった。