第15章 Flower in the Sun
階段を駆け上がって、半開きのドアを開ける。
事務所の奥にある、隠し扉が開いていた。
床に、宿直してた舎弟分が伸びている。
舌打ちして、隠し部屋にかけこんだ。
「榎本っ…!」
榎本が部屋の中央に立ってた。
ゆらりとこちらを振り返ると、にやりと笑った。
かと思ったら、思い切り俺に体当たりをして、一直線に事務所のドアから外へ出て行った。
後を追おうとして、ギクリとした。
見たことのある服。
足元にある。
その先に、白い手が伸びていた。
手を辿って行くと、智津ちゃんの横顔が見えた。
「智津っ…!」
白い首筋に見えるのは…
手の形の濃い痣
時間が、止まった。