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ROSE【気象系BL小説】

第15章 Flower in the Sun









智津…ちゃん…





スカートから伸びる細い足


滴る鮮血


それが何を意味するのか。


その時はわからなかった。


ただ、俺をあの怖い人達から守ってくれたことだけはわかった。





そしてあの時も…


智津ちゃんが施設を出て行って、暫くしたあの日。


夜半に俺に伸し掛かる副園長を突き飛ばして、逃げた。


裸足で智津ちゃんの家に駆け込んで…


俺の話を聞いて、静かに家を出て行った。


戻ってきた時の蒼白の顔面。


あの表情。




何が起こったのか、その時はわからなかった。


次の日に、その意味がわかって、俺は智津ちゃんを守らなきゃいけないと思った。


俺を守ってくれたように。


この人のために、人生を使いたいと思った。


どんなことでもできるように、ヤクザになった。


たとえ想いが通じなくても…


それでいいと思った。







「智津ちゃ…」


目を開けると、開いたままになった玄関のドアが見えた。


夜明けのカラスの乱れ声が聞こえた。


「智津っ…」


裸足のまま、飛び出した。


事務所へ歩いて、たった5分の距離。


それがこんなにも遠い。


足に鉛が絡みついているようで、ちっとも前に進まない。


事務所の前に立った時、不吉な予感しかしなかった。

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