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ROSE【気象系BL小説】

第15章 Flower in the Sun


「本当に大丈夫?」


朝、風間が事務所の出口で見送ってくれた。


軽く頷くと、背中を押してくれた。


「智津ちゃん…いってらっしゃい」


あざみ園の出口。


18歳で出るとき、俊が言ってくれた言葉。


ただいまをいうことはなかった。


「いってくる…」


俊に背を向けて歩き出した。


ヤラれるのなんて、あの時以来で。


痛かった。



なんでもない…


こんなこと



それよりも…あの子たちを守らなきゃいけない。


榎本は、あそこに閉じ込めておけば何もできないだろうけど…






そろそろ潮時かな…



こんなことで風間の手を汚すことはできない。


私が決着つけなきゃ、翔はきっとできないだろう…


アイツは優しいから…


本当に優しいから。


自分の身を犠牲にしても、他人を救うようなお人好し。


バカがつくほど正直で、人間が好きで…


だからあんな目にあっても、まだ人間が擦れてなくて…


だから、私がやってやんないと…


あの子の手を汚してはいけない。


私の真っ黒な手で、ケリをつける。





副園長の口から、キュウと妙な音がした。


口の端から泡が噴きでて、ゴボゴボとポットのお湯が無くなったような音がした。


目玉が飛び出てきて、やがて黒目がぐりんと上を向いた。


ヤニで汚れた汚い歯。






今でも夢に見る、10年前のアタシの罪。

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