第15章 Flower in the Sun
しまったと思ったけど、もう遅かった。
榎本が立上がる。
じりじりとこちらに近寄ってくる。
「言えよ…櫻井は、和也を連れ帰ったのか…?」
目が、光った。
これが…
これがこの男の本性だ…
壁に背中が着いて、逃げる場所がなくなった事を悟る。
ドアに向かって走った瞬間、腕を引っ張られて床に倒れ込んだ。
圧倒的な力の差に、どうすることもできない。
「言えよ…ガオ…和也、生きてるの?」
「死んだよ…生きてねーよ…」
「嘘つけ…じゃあ、なんで俺を殺さねえんだよ…櫻井はなんで、俺を殺さねえんだよ…」
「アンタには生きている方が罰だからさ」
「え…?」
「生きてるほうが辛いだろ?え?そうじゃないのかよ!」
「…そんなことどうでもいいんだよ…和也…あいつは…」
「だから死んだって言ってるだろ!」
「嘘だ…お前…」
頬に焼けるような痛みが走った。
榎本が私を殴った。
「言えよ…本当のこと」
氷のように冷たい目。
今まで見たこともない目…
喉元に手を当てられた。
軽く圧迫されてるだけなのに、喉がつまって動けなかった。