第15章 Flower in the Sun
侑李。
俺はお前を愛してた。
自分の子供のように。
…いや…
本当は翔の代わりに。
愛そうとしてた。
でも…お前は…
こらえきれなくなってその場で吐いた。
たばこ屋のおばあさんが飛び出してきて、介抱してくれた。
「大丈夫かね…お兄さん…」
優しく背中をさすっている手が熱い。
もうさわらないでくれ。
誰も…
俺に…
”まーしゃ…すき…”
侑李…
見えない
なにも
真っ暗だ
気がついたら東京に居た。
そのまま新宿へ行った。
いつもの場所にあの男は立ってた。
「久しぶり…」
俺の顔を見ると、にやりと笑った。
駆血帯を緩めると、一気に回った気がした。
吸い込むだけじゃなくて、ついに針にも手を出した。
これが一番効きがいい。
暫くすると、夢想の世界に漂える。
ここには何もない。
真っ暗な部屋。
居心地がいい。
何も考えたくない。
何度も翔みたいに腕を切ったけど、死ねなくて。
こうやって漂うしかなかった。
「ゆーり…」
笑ってる。
「翔…」
身体を強く抱いた。
こうしていないと、今すぐ飛び出して翔をめちゃくちゃにしそうだった。