• テキストサイズ

ROSE【気象系BL小説】

第15章 Flower in the Sun


駅前に着くと、すぐに小原に電話を掛けた。


「ねぇ…侑李が殺人事件起こしたって本当なの?」


信じたわけじゃない。


ただ、なんだかひっかかる。


嘘でいい。


嘘でもいいから違うと言ってくれ。


『ああ…聞いてしまいましたか…』


小原の口からため息が漏れた。


「どういうことだよ…」


『話すと長くなります…』


駅前は、閑散としてて。


なんにもなかった。


座る場所も、息を付ける場所もない。


自動販売機で水を買って、震える手で飲み干した。


心臓がバクバクいっている。


『侑李くんは…』


小原の声が遠くなる。







侑李が生まれた時は、あの家は裕福な農家だったそうだ。


侑李に障害があるとわかっても、誰も侑李のことを邪険にせず、ありのままを受け入れて育てていた。


幸福な少年だった。


だけど、侑李が小さい頃に母親が亡くなると、全ての状況が変化した。


強引に家に入り込んできた妾。


正妻にしろとごねて、何年も居座った。


その間に、侑李に加えられた虐待は、壮絶なものだったそうだ。


そのうち、父親が根負けして妾を、正式に妻にした。


侑李は蔵の地下牢に閉じ込められた。
/ 420ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp