第15章 Flower in the Sun
その時、手に持っていた侑李の写った写真が落ちた。
老婆はそれを拾った。
見るなり、俺の顔を凝視した。
「あんた…」
それきり黙ってしまった。
「え…?」
写真を返してくれないから、動けない。
「あの…返して下さい。それ…」
「あんた…この子の知り合いか…」
「え?いえ…」
「また、何か調べにきたのか!」
「え?」
「あの子はもうこの家には関係ないっ!あの人は死んだ!」
そういうと老婆…
いや、老婆に見えるけど、まだ年は若い。
30代後半から40代前半ぐらいだろう。
髪が真っ白だから、老婆に見えたんだ。
「侑李は死神だ…あいつをもうここに近づけないで…」
「あの…一体どういうことですか…?」
「侑李は実の父親を殺したんだよ…」
「え?」
「私の主人を殺したんだよ…こんなことになるなら、再婚なんてしなきゃよかった…」
ぎゅうっと目を閉じた。
「死神がいるとわかってたら、嫁いでこなかった…」
「どういう…」
その人は、口をぎゅっと引き結ぶとそのまま歩き出した。
手から侑李の写真を落としていった。
俺は慌ててそれを拾い上げた。