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ROSE【気象系BL小説】

第15章 Flower in the Sun


民家も途切れた、田んぼの道の端。


なんにもない山の中。


麓の集落を見渡すと、あきらかにここ周辺が取り残されたように色あせてる。


「ここ、だよなぁ…?」


違和感を覚えた。


山の中に、堅牢な門壁で囲まれた家が出てきた。


こんなとこに侑李が居たのか?


そっと回りを伺っても、人の気配なんかしなかった。


そのままゆっくり周囲を回った。


侑李がいた痕跡なんてないだろうけど、そうしたかった。


でも増々寂れていく風景。


なるべく気配を消して、そっと歩いた。


家の裏手の方に行くと、壁が崩れていた。


中を伺うと、母屋と思われるものは廃墟だった。


そっか…


侑李の家族はきっと、離散したか死別したんだ。


だから侑李の引き取り手が見つからなかったんだな…


そう納得させた。


足元に鎌が落ちてた。


見たら、赤錆が浮いていた。


なんとなく血がついているみたいで、ぞっとした。


またゆっくりと山を下った。


これで満足したわけじゃないけど…


でもこれて良かった。


侑李がこういうところで育ったって見ることができて。


山道を降りていたら、老婆が下から上がってきた。


なんとなく避けると、老婆は頭を下げた。

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