第4章 Half Moon
「しょうさん!おわりましたっ」
職員室に和也が駆け込んでくる。
「おっ…今日もいい子だったな!」
「うん!」
満面の笑顔で俺に飛びついてくる。
「こら、和也くん。櫻井さん、ぎっくり腰になっちゃうわよ」
「なりません。しょうさん、わかいです」
「和也よりは年取ってるよ…」
「しょうさん、えーっと…にじゅう…さい」
「はたちっていうんだ」
「はたち…?」
「わかった…ごめん。20歳ね」
「にじゅっさい!しょうさん、にじゅっさい!」
「あんまり連呼すんなよ…」
和也は俺のまわりを飛び回ってる。
「あのぉ…」
先生が遠慮がちに言う。
「そろそろ閉めたいんですが…」
「あっ…すいません」
「いえっ…こちらこそ。いつも和也くんを送っていただいて…すいません」
「いいんですよ。てんかん心配だし」
「本当に…櫻井さんにはなんてお礼していいか…」
「気にしないでください。俺、和也くん、好きなんです…」
「あら…」
先生は驚いた顔をしたが、すぐに顔を引き締めた。
「櫻井さん、それは…」
「俺、和也くんを引き取ろうと思います」