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ROSE【気象系BL小説】

第15章 Flower in the Sun


智が床に落ちたロープを拾い上げて、雅紀を縛った。


雅紀はその間、抵抗するわけでもなく。


笑ったままグルグル巻に縛られて、ソファに横たえられた。


口の端から、よだれが溢れてた。


その間、俺はドアの前から動くことができなかった。


ただ、見ているしかできなかった。


ガオが蒼白な顔を俺に向けた。


「翔…」


とっさに、目を逸らした。


「和也…みーちゃんと遊んでおいで…?」


「やだ…」


「和也…」


「しょうさんといっしょ…」


和也の顔色が、真っ青になっていた。


「どうした…気持ち悪い?」


「いやっ…いっしょにいるっ…」


「わかった…わかったから…」


俺に抱きつくと、ぎゅうっと力を入れて離れない。


そっと身体に手を回すと、小さな肩を包んだ。


「ここに…いるから…」


もう、どこにも逃げ場はない。


ここは、俺達の現実だった。


雅紀が、現実を捨てたのに。


俺たちは捨てることができなくて、ただここに立ち尽くしているしかなかった。


和也の体温を感じて、かろうじて生きていることを知った。


和也の抱きしめる腕の力で、ここにいることを知った。


「一緒に…立ち向かってくれる?和也…」


「うん…」


小さく頷くと、俺の胸板に額を押し付けた。
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