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ROSE【気象系BL小説】

第15章 Flower in the Sun


それからのことはよく覚えていない。


見慣れない女性の格好をしたガオを見ることができなかった。


できたって…?


なんで…?


あんなに憎んでたのに。


いや…


憎んでいたのは俺だけ。


ガオは本当は憎んでいなかったのかもしれない。


手が震える。


左腕が痛い。


鼓膜が焼けるように痛い。


「翔…どうしたんだよ…」


潤と智が俺を気遣ってくれても、返事をすることができなかった。


「ごめん…少し気分が悪いんだ…」


和也の腕を取ると、立ちあがった。


「先に…帰る。後、頼むな…」


「うん…気をつけてよ…翔…」


侑李の墓に立ち寄って、また祈りを捧げ、俺達は世田谷に帰った。


部屋にはいると、黒い服を脱ぎ捨てて風呂に入った。


和也も脱がすと、一緒に熱い湯に浸かった。


なにも考えたくなかった。


和也を後ろから抱くと、耳を噛んだ。


「あ…」


久しぶりに声を聴いた気がした。


そのまま和也と繋がりたくて。


切なくて。


涙が溢れた。


動きが止まった俺を見上げた和也が、俺の方に向くと唇を重ねてきた。


静かなキスだった。
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