第15章 Flower in the Sun
「ありがとな…」
そうだった…
侑李を保護したとき、風間は現場に居たんだった。
それに、侑李の国籍を取るときも、陰ながら力になってくれてた。
「お前がみつけたんだもんな…」
「ああ…」
風間は手を合わせると立ちあがった。
傍らで蹲ったままの和也をみつめた。
「この子…?和也って…」
「ああ…」
答えると、懐かしそうな顔をした。
「会ったことはなかったけど…俺、ずっとこの子探してたんだな…」
「うん…ありがとうな。ロクに礼も言えてなくて」
「いいんだってそんなの…俺、ヤクザだし…」
優しい顔をしてるのに、風間はヤクザで。
だから俺達とは一切、付き合いをしていない。
ガオとは時々会ってるようだけど。
「そういえばさ…」
言い出したのに、風間は黙りこんだ。
「ん?どうした」
「いや…ちょっと…」
俺の腕を引いて、墓苑の隅に行った。
「榎本のことなんだけど…」
「え?」
「知ってる?ガオさんと…」
「は?ガオがどうしたって?」
「あ…知らないんだ…」
風間は顔を背けた。
「なんだよ…言えよ…」
「榎本と…ガオさん…できちゃったみたいなんだ…」
鼓膜にキーンと痛みが走った。