第14章 Coo Coo
「智…」
「んー?」
「これ、食べたくね?」
潤が手にチラシを持っている。
「なに?これ」
「焼きまんじゅうだって」
「へえ…美味しそうだね」
「でしょ?」
リビングに寝転がりながら、そのチラシを受け取った。
なになに…
へえ、前橋なんだ。
アレ…?
潤を見上げると、にやっと笑った。
「気づいた?」
「うん…まさか…」
「その、まさか。行かない?」
「え、まじで?行く」
「ガオも誘お?」
「…いかないと思うよ?」
「え?」
「だって…」
「ああ…そうだったな…」
「だから、俺達だけでいこ?」
「うん」
寝転がる俺に、潤が覆いかぶさってきた。
「ね…智…」
「なに?」
「俺のこと、好きになった?」
「え?」
「好きに…なってくれた…?」
潤が顔を伏せたまま、俺に尋ねる。
少し手が震えていた。
「バカだな…」
震える手を握った。
「好きじゃなきゃ…こんなことしてないよ…」
「え…?」
「言ったろ?大事だって。その気持も変わらない」
言葉がないと、人間は不安になる。
「ごめんね…ちゃんと言ってなくて…」
起き上がると、潤をまっすぐ見つめた。
「潤…好きだよ」