第14章 Coo Coo
泣きながら墓石を見上げてる。
いや、正確にいうと、墓石の後ろを見上げてる。
そこに、先生がいるのか?
呆然と和也の姿を見てたら、一陣の風が舞い上がって、俺の持っている花束の花びらを散らした。
「せんせぇっ…!いっちゃやだあああっ…」
和也が墓石に縋ろうとする。
「和也っ…」
持っていたものを落として、和也を抱きとめた。
「しょうさあんっ…せんせい、いっちゃったぁっ…」
「先生、居たの…?」
「そこに、いたぁ…」
涙が止らない和也の顔を、袖で拭いてやって改めて回りを見渡した。
飛び散った花びらが、俺達の周囲を囲んでた。
先生、本当に居たのかな…?
「せんせぇっ…せんせぇっ…」
ふと、和也の動きが止まった。
じっと見てると、温かい手が和也の頬を包んだ。
その透明な手は、天から伸びていた。
「せんせぇ…」
和也は宙を見上げている。
『ありがとう…櫻井さん…』
先生の声が、聴こえた。
また突風が俺たちを包んだ。
目を開けると、透明な手はなくなってた。
「せんせぇ…」
和也は、目を閉じることなく宙を見つめていた。