第14章 Coo Coo
行きの車中では、そのまま黙りこんだままで。
俺も敢えて、話しかけたりはしなかった。
じっと手を握って、前を見てた。
和也は、先生の死に目に会えてないから、実感はないだろう。
でも、先生が死んだことを、なぜかこいつは知ってた。
不思議だと思いながら、これもなんでなのかわからないままだった。
墓地につくと、階段を登っていく。
途中、水汲み場で桶に水を満たして持っていく。
「和也、こっちだよ」
桶を持ちながら、力の入らない左手で和也の手を掴むと、ぎゅっと握り返してくれた。
「ん…いこうな…和也」
「うん…」
親指を咥えてる。
ちょっと、不安なのかな…
「大丈夫だからね。俺がいるから」
「はぁい…」
とぼとぼと俺の後に続いてくる。
先生の墓が見えると、和也が突然駈け出した。
「せんせえっ…!」
人は、いつ魂が天に昇るのだろう。
先生が亡くなって、一年以上経っている。
和也は教えてもないのに、まっすぐ先生の墓に向かっていった。
「せんせぇっ…」
いきなり墓石の前に座り込んだ。
「やーっ!せんせぇっ…!」
和也が突然泣きだした。
俺は、呆然と立ち尽くした。