第14章 Coo Coo
「しょうさん、どんぐり」
道端に落ちてるくぬぎの実を、和也は嬉しそうに拾う。
「ゆーりくんにもってかえる」
「ん。俺も拾ってやるよ」
和也と、無心に拾った。
ポケットがどんぐりでいっぱいになった。
ちょっと歩きにくい…
「ゆーりくん、よろこびます」
和也が嬉しそうにポケットを撫でる。
「喜ぶよ。きっと」
肩を抱き寄せると、髪にキスをした。
「はぁい」
にこにこしながら、俺に凭れかかってくる。
このぬくもりが愛おしい。
「”けえちゃん”…か…」
思わず、口をついて出た。
和也が驚いた顔をして、俺を見上げた。
「しょうさん…」
「和也…榎本に、会いたい?」
和也の顔が、どんどん歪む。
俺は…
一体何を聞きたいんだ…
「いやああああっ…」
和也が走りだした。
「あっ…」
どんどん先に進んでいく。
慌てて後を追おうとしたけど、なんだか足がもつれて進めなかった。
なにやってんだ…
なにしてんだ!
追いかけると、足元にどんぐりが転がってた。
遊歩道を気をつけてみると、点々と先に続いてる。
それを辿って走った。
大きな木の下でそれは途絶えてた。
木の幹に隠れるように和也が座り込んでた。