第14章 Coo Coo
”けえちゃん”
心臓をえぐられるかと思った。
シンクに手をついたまま、荒れる心臓を鎮める。
壊されて、たまるか。
この幸せを。
俺達が乗り越えてきた困難の全ての原因を作ってきたアイツ…
早く始末しとけばよかった。
ぎゅっと手を握った。
閉じきらない左手を見ると、ゾっとした。
いつから俺は、アイツを”始末する”って思うようになった。
殺す、とは思ってた。
でも”始末する”なんて…
いつから俺は、そんな考え方をするようになった…
両手で顔を覆う。
侑李にも悪いことした。
死んだって…
そう言ったって、侑李にはわからないのに…
「しょうさん?」
キッチンの入口に和也が立ってた。
「きもちわるい?」
俺の顔を覗き込んで、心配そうにしてる。
「ん…違うよ…おいで…」
こちらに歩んでくる和也の肩を抱き寄せた。
ぎゅうっと抱きしめると、ほのかに石鹸の香りがした。
「和也…もう、どこにもいくな…」
「うん…いかない…」
ぎゅうっと抱きしめ返すと、和也は俺の胸に顔を埋めた。
「しょうさん…すき…」
「ん…俺も。好き」
そんな俺達の姿を、雅紀がみてることなんて、気付かなかった。