第14章 Coo Coo
背筋に冷たいものが走った。
「し…?」
「侑李にはわかんないか…」
元のほほ笑みに戻ると、侑李の眼の高さに合わせた。
「もう、けえちゃんには、侑李は会えないの」
「なんでぇっ」
「侑李の近くにいないからだよ」
「やーっ」
「じゃあ、雅紀取っちゃうよ?」
「え?」
「翔と雅紀、一緒に暮らそうかなー」
「やっ…やだあっ…やだっ」
「ほら…侑李…けえちゃんと雅紀、どっちが好き?」
「……まーしゃ……」
翔は満面の笑みを浮かべた。
「だろ?けえちゃんは、もう会いにこれないから、まーしゃに甘えればいいよ」
ポンポンと侑李の頭を叩いて、翔はキッチンに消えた。
……いろんな意味で…痛かった。
榎本は、まだ生きてるんだな…
そして、翔…
俺と暮らすって…
冗談でも…言うなよ…
心臓、痛い。
ぎゅっと胸の辺りを掴んだ。
侑李が、俺のところに駆けてきて、腕にしがみついた。
「まーしゃ…しょうくん、こわい…」
「ほら…だからけえちゃんの話、しちゃだめだよって言っただろ…」
侑李を抱きしめると、少し安心した。
俺は、まだ…
”ないない”になってない。