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ROSE【気象系BL小説】

第14章 Coo Coo


「侑李…お願いだから…」


「けえちゃんどこ?どこいったの…?」


時々、侑李は榎本の事を思い出して泣く。


榎本は侑李を和也の代わりにしか思ってなかったけど、侑李はちゃんと榎本のこと、好きだったみたいで…


「ばかだな…侑李は…」


ぎゅっと抱きしめると、細く嗚咽が漏れてきた。


「けえちゃんに会いたい…」


「そっか…」


ごめん…会わせることはできない。


榎本がどうしてるか、知っているのは翔とガオだけで。


俺も、多分智や潤にも、知らされてない。


もしかしたら、もう死んでいるのかもしれない。


死んでないのかもしれない。


「侑李…俺がちゅーしてあげる」


泣いているのをどうにか止めさせたくて、言ってみた。


侑李はゆっくりと顔を上げると、俺の頬を両手で包んだ。


「まーしゃ…どこにもいかない?」


「行かないよ?」


「けえちゃんは?」


「ごめん…俺にはわかんない…」


ぷっと頬を膨らませた。


「まーしゃ…きらい…」


「えええっ」


侑李が逃げ出したから、慌てて後を追ったら、階段の下で翔に捕まってた。


「あ、翔…」


翔は侑李を抱きしめると、微笑んだまま言った。


「侑李…けえちゃんはね、死んだよ」


残酷な笑みだった。

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