第13章 Move Over
それから何日も、俺たちは家を出ないで過ごした。
美穂さんが色々してくれたから、俺達は思う存分、二人の時間を楽しんだ。
呆れながらも、俺達を見守ってくれる美穂さんには感謝してる。
「まーラブラブだこと…お邪魔みたいだから帰るわね…」
エプロンをカバンにしまいながら、美穂さんが苦笑いする。
「あ…すいません…そんなつもりないんだけど…」
「やー!しょうっ、だっこ!」
「もー!和也っ!」
「だっこ!だっこ!」
「お前もう大人なんだから、ちょっと我慢しろっ!」
「やー!やー!」
「まあまあ、翔さん、いいじゃないの…甘えさせてあげなさいよ?」
そういうと、美穂さんはさっさと玄関から出て行ってしまった。
さばさばしすぎ…
「和也…俺達がいちゃいちゃしてると、美穂さんが居づらいだろ…?」
「いちゃいちゃってなんですか?」
「…だっこしたり、キスすること」
「しちゃいけないんですか!」
「だからね…美穂さんと俺たちしかいないときは、やめようね?」
「あー…い…」
寂しそうに俯くから、めっちゃ悪いことをした気分になる。
「ほら、おいで?」
腕を広げると、嬉しそうな顔して飛び込んでくる。
髪に顔を埋めると、最高に俺も幸せだ。
幸せ過ぎて、こわい。