第13章 Move Over
なにか言ってる…
男たちが、喋ってる…
下卑た笑い声
冷たい雨
身体を貫く痛み
爪の間に食いこむ土
饐えた匂い
ああ…もうやめてくれ…
もう忘れたいんだ…
なんで俺にこんな夢見せるんだ…
男の手が俺の肩を掴む。
ぐいっと引っ張られたら、お腹に痛みが走る。
後ろにはモノが埋め込まれて苦しい。
口の端しからよだれを流しながら、男は俺を犯す。
濁流に飲み込まれる木の葉のように、俺の身体はいいようにされる。
長い時間。
終わらない時間。
なのに。
記憶だけは鮮明に残ってる。
もういやだ…
左腕が痛い。
燃えるように熱い。
誰か
殺してくれ
「しょうっ…しょうっ…!」
揺り起こされて目が覚めた。
朝の光が目に刺さって、思わず目を閉じた。
「和也…?」
「しょうっ…いやっ…いやっ…」
泣き叫びながら俺に抱きついてくる。
ああ…和也にはわかっちゃうんだ…
「ごめん…置いて行かないから…」
「しょうっ…」
胸板に顔を埋めて、いやいやをしている。
「ごめん…和也…」
温かい…
ぎゅっと抱きしめ返すと、そのまま俺たちは動かなかった。
このぬくもりを、生きた身体で抱きしめ合える喜びを噛み締めた。