第13章 Move Over
綺麗な月夜だった。
病室の窓から、二人で月を眺めた。
「和也…?」
「はぁい」
「俺に…会いたかった…?」
「うん…」
和也は俯いて答えた。
俺と会えなかった5年が、和也の表情に陰を作った。
「本当に…?」
「はぁい…」
俺の胸にそっと縋り付いた。
ぎゅっとパジャマを握ると、そのまま動かない。
「和也…?」
「…どこにもいかないで…」
「はは…どっかに行ってたのは、和也だぞ?」
「はぁい…」
俺が言うと、笑った。
そのまま俺を見上げた。
月明かりが、和也の横顔を青白く照らしてた。
「…いっしょに…いく…」
強い目だった。
こんな目、見たことない。
俺は和也をぎゅっと抱きしめた。
「うん…ずっと…いっしょだ…」
和也の顎を持ち上げると、唇を重ねた。
最初は啄むだけのキスだったのが、だんだん深くなって。
和也の息が乱れる頃には、止まらなくなって。
抱きたい…
「和也…」
俺を見上げる和也の瞳が、とてもまっすぐで。
変わっていない
和也の心は、なにも変わっていない
変わったのは…
俺