第13章 Move Over
和也の顔を見た途端、頭痛が消えた。
締め付けられるような不快感も消えた。
すーっと心が凪いだ。
「しょうさん…きもちわるい?」
水差しから、コップに水を汲んで渡してくれる。
随分、大人になった気がする。
そういえば、身長も少し伸びた。
指が、首が太くなった。
成長した…
飲み干したコップを取ると、そっと俺の肩を包んでベッドに寝かせた。
「しょう、ねる」
そういうとにっこり笑った。
「ああ…」
でも眠れるわけなんてない。
和也が居るのに。
智と潤がベッドに近づいてくる。
「翔…よかったな…」
潤が泣いてる。
「和也を保護しててくれたおばあちゃんの家に、翔は居たんだよ」
智が俺に説明してくれた。
和也は3年前のあの日から、ずっと俺が襲われたあの地区で、おばあさんに保護されていたんだ。
おばあさんはちょっとボケていて、和也のこと孫だと思い込んで一緒に生活してたらしい。
周りの人も、誰も疑わなかったらしく。
だから和也のことが、捜査線上に出てこなかったのだ。
外国の血が入ったエジプトの人だと思われてたから。
俺はあの日、和也に発見されて、3日の間和也に看病されてたらしい。
らしいというのは、和也以外にそのことを証言する人がおらず。
おばあさんは、あの日、戦闘に巻き込まれて死んでしまったのだ。