第13章 Move Over
次に目覚めたら、病院にいた。
病室には誰も居ない。
また夢をみていたのか…
和也は本当に居たのか…?
シンと静まり返る病室で、ただただ心細くなる。
左手が焼けるように熱い。
みると、包帯でグルグル巻きにされてる。
あれ…
どうしたんだっけ…
思い出そうとしたら、急に耳が痛くなった。
キーンと鼓膜を締め付けられる。
これ、知ってる…
耳が聞こえなくなる前兆だ…
右手て頭を押さえるけど、どうにもならなくて。
「う…ぁ…」
耐えかねて声が出る。
脂汗が出てくる。
気持ち悪い。
気持ち…
あ…
俺、ヤラれちゃったんだ…
そうだ…俺…
おもちゃみたいに、あいつらに…
吐き気が我慢できず、起き上がってベッドの横にあるゴミ箱に吐き出した。
黄色い胃液が出た。
吐いても、吐いても止まらなくて。
喉が焼けて痛い。
背中にそっと手が乗った。
振り返ると、そこに和也が居た。
「和也…」
「しょうさん…」
心配そうな顔で俺を見てる。
ぼさぼさだった髪の毛がきれいに切られてる。
傍らに、潤と智。
俺をみて微笑んでる。
ああ…
本当なんだ…
和也が、帰ってきた。