第13章 Move Over
「俺…は…」
喉がカラカラになった。
テーブルの水差しから水を汲むと、一気に煽った。
「智が…好きだ…」
「えっ!?」
智が想像以上にびっくりしたから、俺までびっくりした。
「えっ!?なんだと思ってたの!?」
「え…いや…その…」
「伊達や酔狂であんなことやったんじゃないよ…」
思わずうつむいて、頭をかきむしった。
「あんなこと、しといて…なんにも伝えなかったの、悪かったと思ってる…」
ふぅーっと息を吐き出した。
「智、好きだ」
目を見る。
智の目が、まっすぐ俺を見つめ返す。
「…うん…わかった…」
智の手が、俺の手をぎゅっと握った。
「俺、ちゃんと受け止めたから…」
俺から目をそらさないで、まっすぐ見つめてくれる。
「今すぐ、お前のことその…翔と和也みたいにはみれないかもしれないけど…努力するから…」
「智…」
「潤さ…薬、やってないよね?」
「え?なんのこと?」
「はー…よかった…」
「え?俺があんなことしたから、そう思ったの?」
「…うん…おまけにロシア人とかの話、俺の前でするし…」
「あ…ごめん…」
「やってないなら、いい」
そっと智が俺を抱きしめた。
「…お前が大事だってわかったから…」
智の鼓動が、俺の耳に聴こえた。