第13章 Move Over
「和也っ…和也っ…」
体中、痛い。
和也抱きしめて。
傍にいて。
右手を伸ばしても、空を切る。
「和也ぃっ…」
どこに行ったんだよ…
どうして俺を一人にするんだよ。
もう離れないって言ったのに。
離れる必要なんてないのに。
目を開けると、真っ暗な世界。
饐えた匂いが漂ってくる。
吐き気がこみ上げてくる。
我慢しようと思ったのに、口の中に溢れてきて、思わず横を向いて吐き出す。
生ぬるい液体が、肩に掛かる。
「う…ぁ…和也……どこ…?」
右手を伸ばすと、地面についた。
身体に痛みが走って、地面に爪を立てる。
ぎりぎりと爪の間に土が入ってくる感覚がする。
「う…うぅ…」
呻き声が闇に満ちる。
…たった一人だ…
俺は、和也が居なかったら、こんなにも一人なんだ…
身体が震える。
寒い…
寒いよ…和也…
どうして…?
夢の中なのに…
お願いだ…和也…
ここにいて…
会えなかった5年を埋めよう。
二人で育てるはずだった時間を、育もう。
与え合うはずだったぬくもりを…
俺にくれよ…
一人に、しないで…