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ROSE【気象系BL小説】

第13章  Move Over









その兵士の証言のあった地区へ、すぐに地元警察が向かった。


そこの住民からの証言で、翔らしき人物がそこで横たわっていたという証言が出た。


しかし、夜が明けたらそこには誰も居なかったと。


大使館の一室で、その報告を聞いている。


翔…


智が俺の肩を抱く。


「そこから、翔の足取りはつかめないんですか…?」


「ええ…つい先程上がってきた証言ですから…」


大使館の人が答える。


「それを今井さんに伝えてもらうことはできますか?」


「…わかりました…やってみましょう」


そういうと、スーツの人は部屋を出て行った。


俺はまた少し震えた。


「潤…」


智が俺の顔を覗き込む。


「今、泣いたら駄目だ…」


真剣な顔をして言う。


「泣いたら、翔が帰ってこない気がする…」


そう言って、正面を向いた。


なにかに抵抗するような目。


智も、不安なんだ…


「ごめん…しっかりしなきゃね…」


「いいって…お前、俺より年下だもんな…」


「忘れてた…智って年上なんだね…」


そう言って、無理に笑ってみた。


急に智にキスされた。


「潤…俺のこと、好きなの?」


「え…?」


「なんで、俺のこと…その…」


「あ…」


「なんで…かなって思って…」


「今、言わなきゃだめ…?」


「今だから聞いておきたい…だって…」


ごくっと唾を飲み込んだ。


「人間、いつ死ぬかわからないから」


「…うん…」


息が、止まるかと思った。
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