第13章 Move Over
「しょうさん!おきて!」
目を開けると、また白い世界。
和也が俺になにか差し出している。
木のスプーンに、なにか載ってる。
俺の口元に、何度も差し出してる。
「たべて?しょうさん…」
俺が口を開けないから、和也が悲しい顔をしている。
「なに…?和也…」
「たべる!しょうさん、たべる!」
必死に和也がスプーンを出すから、口を開けた。
少しだけ塩味の効いた、何かわからない液体のような固形のような…
なにかが口に流れ込んでくる。
「たべて?」
必死な目で言うから、なんとか飲み込んだ。
飲み込むと、またスプーンを差し出してくる。
泣きそうな顔になってたから、しょうがなくそれを食べてやる。
傍らに置いてある、木のお椀が空になった。
和也は満足気な顔をした。
「しょうさん、ねる」
そういって、俺のまぶたに手を載せた。
「いやだ…和也…」
載せられた手を握った。
「しょう…」
また悲しげな声が聞こえた。
「寝たら、和也のこと見れないじゃん…」
手をどけると、和也の唇。
ふんわりと俺の唇に重なった。
「しょう、ねる…」
幻想の和也は、俺のいうこときかないなぁ…