第12章 Maybe
冷たい…
身体が、濡れている。
何の音…?
雨…?
久しく聞いていない…
ずしっと腹に、なにか乗っかった。
びっくりして目を開けると、戦闘服に身を包んだ男が俺の腹に乗っていた。
空が暗い。
もう夜になろうとしていた。
おまけに、雨が降っている。
こんなのカイロにきて初めてだった。
激しい雨が、俺の顔を打ち付ける。
戦闘服の男が、顔を覆っているターバンを解いた。
何をしてるんだろう…
麻痺した頭で考えても、ちっともわからなかった。
男は舌なめずりすると、俺の長い服の裾から手を入れてきた。
ズボンに手を掛けると、一気に引き抜かれた。
翼の言葉が頭をよぎった。
”カイロのホモが好きそうな顔してる”
俺の足を割り開くと、自らのモノだけ取り出した。
そのまま、俺は貫かれた。
倒れた時、身体を打ちつけたのか痛くて動けなかった。
地面を掴んで、痛みを逃す。
頭をキリで刺されているような痛みが、お尻から突き抜けていく。
「うーっ…う…う…」
恐怖しか感じなかった。
この後、殺される。
そう思ったら、思考まで停止して。
ひたすら、俺は男が果てるのを待った。
それは永遠に終わらない地獄の時間だった。