第12章 Maybe
そして、何やら言いつけた。
現地の案内人がこっそりと金をにぎらせた。
子供はにこっと笑って駆け出していった。
暫くすると戻ってきて、2、3人の子供を連れてきた。
一生懸命しゃべるのを、案内人が制して、ひとりずつ話を翼が聞いた。
言葉が英語じゃないから、俺にはチンプンカンプンで。
ぼけっと眺めていた。
「ここに、東洋人はいないって」
翼は目を閉じた。
「さ、次に行こう」
子供が一人、俺の長い袖を引いた。
ぼろぼろの服を纏った子供は、俺の顔をみるとにっこりと笑う。
髪はぼさぼさで、土埃を被ってる。
「ウヒッブカ…」
あ、この子…
俺はしゃがむと、その子の頬を撫でた。
土でジャリジャリしてるのを、拭ってやった。
俺は翼を見上げた。
「この子と同じような少年をみたことないかって聞いて?」
翼は頷くと、少年に伝えた。
少年は暫く考えこんで、翼になにか言った。
「翔…ここじゃないけど、みたことあるって」
「そう…じゃ、次はそこへ行こう」
俺は立ち上がると、その子へ向かって笑いかけた。
笑い返したその瞳が、和也とそっくりだった。