第12章 Maybe
報告書を読むのをやめて、その日は眠った。
次の日、潤と智に報告書の解読を任せて、俺は翼と現地の案内人と一緒に和也を探すことにした。
朝、顔をみた潤は普通の顔してて…
とても薬やってるようには見えなくて。
なにより、雅紀が薬に手を出した時、一番怒ったのは潤で…
智の言っていることが嘘だとは言わないけど、とてもじゃないけど信じられなかった。
…でも雅紀もそうだった。
あの日、襲われなかったら、気づくのはもっと遅れただろう。
そのくらい、普通だったのだから。
ガタガタ揺れる道を、翼のジープは軽快に走る。
物思いに耽る俺を、二人は放っておいてくれた。
ホテルを出るとき、そっと智に目配せしたら、少し表情を固くして頷いた。
智…ごめん…
力になれなくて…
右手にナイルを見ながら、市内南部へと車は走っていった。
そこは、悪臭ただよう路地裏で。
道路に子どもたちが、何も敷かないでそのまま横になってる。
かと思えば、金の匂いを嗅ぎつけたか、俺達をジロジロ見る集団もいる。
生ごみの臭いが凄い。
酔いそうだった。
翼が、賢そうな子を見つけて、こっそりと呼びつけた。