第12章 Maybe
夜になって翼が報告書を持ってきてくれた。
そのまま夕飯に連れだされた。
フェアモント ナイル シティに入る。
ここは豪華なホテルで。
本来なら、翼はここに泊まって欲しかったらしいけど。
でもあからさまにこんなとこ泊まってたら、外国人だってバレるし。
でも設備がきれいだから、停電があってもなんとか過ごせるから、というのが泊まって欲しかった理由らしい。
現在、エジプトの電力事情は凄く悪くて。
一日に何回も1時間以上停電するらしい。
暑さをがまんできず倒れる日本人を何回もみてきたんだって。
席に座ると、翼が全部注文してくれた。
「いや~。久しぶりだよ!こんなとこで飯くうの」
白い歯を惜しげも無く見せて、笑う。
「なんで?」
「だって、日本人こないんだもん!観光客のガイドが仕事なんだから、こなきゃこんなとこ入れないよ」
「え?お客さんと一緒に飯をホテルで食うの?」
「そりゃあ…ね?」
意味ありげに翼は笑う。
「女の子だけのグループが来たりすると、必ず引っかかる子居るんだよ…」
そう言うとニッと笑った。
スケベな笑顔。
「旅の恥はかき捨て、ね。あ、これ間違った使い方だから」
「ああ…旅行にきた女の子引っ掛けてセックスするからホテルくるんだ!」
智、遅い…