第12章 Maybe
ホテルに戻ると、翼は一旦帰っていった。
こちらでの報告書を預かってるから、持ってくると言っていた。
俺たちは夕飯までの間、休憩することにした。
ベッドの上で荷物を整理していると、智と潤が部屋を訪ねてきた。
「おう。入れよ」
ドアを開けて促す。
「おじゃましまーす」
「おう」
そのまま、小原の報告書を手にとった。
「明日から、どうすんの?」
「スラム街へいく」
「え!?」
潤は絶句した。
「いきなりそんなところから行くの…?」
「ああ…子供がたくさんいるんだって」
それだけで二人は察したみたいで。
「和也がその中にいるかもしれないの…?」
智が遠慮がちに聞いてくる。
「わからない…ただ、なんとなく勘ってやつかな…」
小原の報告書では、そこには戦災孤児がたくさん住んでいて。
政府さえも、そこになに人のなんという名前の子供がいるか、把握できていないという。
その中には、もちろん障害児も居て。
子供同士、肩を寄せあって生きているそうだ。
もし、和也が居るとしたら…
そういうところなんじゃないか。
現地にきて、街を見て、俺はそう思った。
ここから探そう。
そう決めた。