第12章 Maybe
ホテルを出て、また翼の運転する車で市内を回る。
「まあ大体、今まで走ったところがカイロのメインストリートだから。頭に入れといて」
「ああ、わかった」
街が荒れている。
至る所に、銃弾の跡。
崩れた建物はそのままになってる。
土煙をあげながら、翼のジープは街を走る。
「あ、あと。小原さんからアンタたちの変装用の衣装、用意するように言われてるから、明日持ってくる」
「あ、ああ」
「アラブ人に見えなくても、現地に住んでるヤツにみえたほうがいいから」
「うん…そうだな…」
街には外国人の姿はほとんどない。
目立つと、誘拐されるからなるべく東洋人とわからないほうがいい。
中心部から離れるほど、街は荒れている。
さっきのホテルに居た時は、周囲はきれいだったから感じなかったけど…
ちょっと市街を離れると、もうこんな傷跡がたくさんある。
非常時なのだな、と実感させられる。
ぎゅっと手を握る。
和也をどこから探せばいいのか、皆目見当もつかない。
でも、ここにきっと和也はいる。
そんな気がして仕方なかった。
握った拳を噛む。
待ってろ。
今、いくから。