第12章 Maybe
「こいつ、ベルボーイに”ママはどこいったの?”って聞かれてた!」
翼が真っ先に暴露した。
「ちょっ…!アンタ!」
智が大慌てで止めようとするけど、時既に遅し。
俺と潤は腹筋が痛くなるほど笑った。
「もー…なんだよ…」
智は最高に不機嫌な顔をしてる。
「な?俺の言ったとおりだろ?だから、子供が好きな男がヤリたがりそうだって言ったろ?」
「え?”しょたこん”ってそういう意味なの?」
智が心底不思議ですって顔をしながら言うから、俺と潤は死んだ。
「も…ぐひぃ…やめろや…」
「こ、殺す気かよ…俺達を…」
お腹を押さえたまま、俺と潤は暫く動けなかった。
ドサリとソファに沈み込むと、智はそっぽを向いた。
「しらねーよ…好きでこんな風に生まれたわけじゃねえよ…」
今度は翼が爆笑した。
「アンタ、コアなファン多いだろ?」
「はぁ?」
智がムキになる。
でも、それは事実だった。
智のファンには、マニアックな子が多い。
俺らのファンとは毛色が違った。
「でも、いいんじゃない?アンタしか出せない個性なんだから」
翼にまっすぐそう言われると、智は暫く呆然としてから、真っ赤になった。
「ちっ…丸め込みやがって…」
つぶやくと、そのまま笑った。