第12章 Maybe
俺にはナイショで、ガオや雅紀や小出さんまでグルで準備してたらしい。
「お前ら…マジで、命落とすかもしれないんだぞ…?」
「わかってる。だから俺達はあくまで翔のサポート。安心して」
「…翔。智がさ、聞かなくてさ。俺も行くって…」
「え?」
「お前言うなよ…」
言うなり智はそっぽを向いてしまった。
「でも、智一人じゃ心配だからさ。俺も来たんだ…」
潤が首をかしげて、俺の目を覗き込んでくる。
「翔、一緒に頑張ろうよ」
「バカやろ…」
俺はキャップを深々と被ると、二人に背を向けた。
「ホテル、行くぞ」
今回の滞在は、何日になるかわからないから、帰りのチケットは取っていない。
ホテルも安宿を選んだ。
潤も智もちゃっかりとそこに部屋を取ったそうだ。
空港の中で、小原の手配した日本人と落ち合う。
この人が、今回俺を案内してくれる人だ。
「Mr SAKURAI」と書いてあるスケッチブックを持っていてくれたから助かった。
「あ、櫻井さんですか?」
「あ、えーっと…今井さん?」
「はい。今井翼といいます。どうぞよろしく」
そういうと手を差し出してきた。
真っ黒に日焼けした顔で、白い歯がとてもきれいだった。