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ROSE【気象系BL小説】

第11章 Tell Mama


「ただいまー」


ドアを開けると、侑李は勝手知ったる我が家で部屋に駆け込んでいく。


侑李は和也より、自閉症の症状が重い。


でも和也と違って、てんかんは持っていない。


ただ…とても腺病質で。


油断するとすぐ風邪を引いて、酷い熱を出す。


ご飯もあまり食べないし、身体の線も細い。


和也も色が白かったけど、身体はしっかりしてた。


侑李は、乱暴に振り払うと死んでしまう蜉蝣のようだった。


「侑李?お風呂入るぞ」


「やー」


俺はすぐに侑李の額に手を当てる。


やっぱり…熱がある。


風呂にはいるのを嫌がるときは、大抵熱があるのだ。


「わかった…風呂はいいから、もう寝よう?」


「うんー」


今、侑李の両親を探す調査をしてる。


親父の資金のお蔭で、そこまで手が回るようになった。


なんとか親元に返してやりたいけど…


もし親が侑李を売ったんだったら…


それを思うと、俺達は暗い。


それに…


俺達にはまだ…アイツがいる。


「しょうー、ねよ?」


「あ、ああ…」


俺の小さな部屋にはベッドが一つしかない。


そこに侑李と一緒に横たわる。


侑李は俺に抱きつくと、すぐに寝息を立てる。


少し、身体が熱い。


こんなに密着してるのに、俺は和也と居る時みたいな気分にはならなかった。


そんなこと、あるわけなかった。

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