第3章 Call on Me
救急車が来て、かずなりくんを載せた。
有無を言わさず俺も載せられた。
施設の名前をやっと思い出して、救急隊員に告げた。
連絡を取ってくれるという。
そのまま俺はかずなりくんの口につっこんでた手を出された。
「こういうことはしちゃだめなんですよ…本来は…」
「ええ…わかってるんですけど…唇をかみきっていたので…」
「舌が気道を塞ぐこともありますから…あと、指を噛みちぎられることだってあるんですよ…」
「はい…」
かずなりくんがてんかんの発作があると聞いてから、どんな症状なのか気になって友人にきいたことがある。
でもあんまり明確なことは誰も知らなくて…
今度、図書館に行って調べようと思った。
隊員が病院と連絡をとっている間、かずなりくんは落ち着いていた。
車が走りだすと、急にまた痙攣が始まった。
バタバタと動き出す隊員を俺は眺めているしかなかった。
病院についたら、処置室に運ばれていった。
俺は待合室で呆然としてた。
こんな病気なんだ…てんかんって…
ぐるんと白目をむいたかずなりくんを思い出した。
苦しいんだろな…
俺は下を向いて、ひたすら処置が終わるのを待った。